研究概要 |
平成14年度に引き続き,「RC柱の変形解析モデルの提案とその検証」について研究を継続した。14年度の3体の実験に加え,せん断スパン比を変えて,さらに6体のRC柱の実験をおこなった。この実験においてはシアスパン比M/QD=2.0,軸力比nを0.200(N=215kN)と固定し,引張鉄筋比と,帯筋比を実験変数とした。これは,これまでの研究で,破壊断面の角度が帯筋比と主筋比(正確には帯筋や主筋に関する鉄筋係数)に最も影響を受けることがわかっているからである。また,変形能力をみるため,すべて曲げ降伏先行となるように計画した。また,各材料は基礎的な性状を確認する目的から,一般的なものを用いた。加力は,一定軸力のもとで,部材角0.5%もしくは1%を交番載荷したのち,一方向にR=5%まで加力することとした。変形量の測定については,上下スタブ間の相対水平変位と鉛直変形量を,変位計により測定した。この実験により以下のことがわかった. (1)これまでに提案した,組み合わせ応力の相関を考慮した降伏線理論に基づく解析法により,水平強度および破壊断面角度の予測がほぼ可能である。 (2)降伏線理論による強度評価式と部材角に応じ有効係数νを減ずる方式に基づく変形能力評価法では,変形能力の評価精度が既往の方法と同程度となる。 (3)またこの方法についてはシアスパン比に対する相関がみられた。 16年度は,これまでの実験結果をまとめ,シアスパン比の影響を取り入れるなどにより,変形能力評価法の改善を図る。さらに,2年前から,取り組んでいるRC柱梁接合部の変形能力評価法の提案も含めて,報告書をまとめる計画である。
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