研究概要 |
平成13年度において,組合せ応力(曲げモーメント・軸力・せん断力)の相関を考慮したせん断ひび割れ強度の評価法を提案した。平成14年度,15年度において,合計9体のRC柱の実験により提案する降伏線理論の妥当性を検証してきた。以上の研究より,以下の結論を得ている。 (1)シアスパン比,主筋比,軸力の影響を明示したせん断ひび割れ強度評価式を考案することができる。 (2)これまでに提案した,組み合わせ応力の相関を考慮した降伏線理論に基づく解析法により,水平強度および破壊断面角度の予測がほぼ可能である。 (3)降伏線理論による強度評価式と部材角に応じ有効係数νを減ずる方式に基づく変形能力評価法では,変形能力の評価精度が既往の方法と同程度となる。 (4)降伏線理論による強度評価式と部材角に応じ有効係数νを減ずる方式に基づく変形能力評価法についてはシアスパン比に対する相関がみられた。 以上の研究成果をふまえ,16年度は以下のことを行った。 (1)組合せ応力の相関を考慮した,RC部材の強度と変形性能を評価できる理論的なモデルを提案し,既往の方法と比較した。その結果,これまでの方法と,同程度の精度になることがわかった。 (2)研究を柱梁接合部に展開するため,検討を開始した。その結果,接合部の破壊性状の評価においても,これまでに提案し柱部材などに適用した方法と同じ方法で,合理的に評価できる見通しを得た。 (3)これまでの研究成果をまとめると同時に,成果の一部を国際学会で発表した。
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