研究概要 |
本研究の目的は,鉄骨躯体が晒される微気候の温・湿度変動,NOX・SOX濃度と等価な海塩相当付着量の数値予測に基づく環境腐食モデルとそれによる耐久性評価法を開発し,その予測精度と適用限界を検討することである.平成13年度には,温・湿度変動,海塩相当付着量を劣化外力とした,鋼材の発錆と腐食侵攻を説明する数式モデルを文献調査し,この結果を踏まえて鉄骨建築壁体の耐久性能予測という観点から,妥当な計算精度・効率を有するものを吟味した.また,腐食後の鋼材の熱物性変化の取り扱いについても検討した.また,空気の流れは層流として,2次元鉄骨複合壁体に対する非線形非定常熱・水分・空気同時移動問題のDR境界要素解析法を開発した.また,その妥当性についても部分的にではあるが検証した. 今年度はこの結果を受けて,3次元鉄骨複合壁体に対する空気移動を伴う非定常熱・水分同時移動問題のDR境界要素解析法の開発を試みた.また,決定された鉄骨躯体の腐食侵攻モデルを,3次元鉄骨複合壁体に対する空気移動を伴う非定常熱・水分同時移動のDR境界要素解析法と連成させ,限定的ではあるが,その予測精度を検証した. 10.の流れは層流として,3次元鉄骨複合壁体に対する非線形熱・水分・空気同時移動のDR境界要素解析法の開発を進め,計算結果の基礎的な検証を行った. 11.成13年度の研究結果を発展させ,腐食後の鋼材の組成変化で熱物性が変化して,熱・水分・空気移動場と鋼材の腐食侵攻計算が相互依存する計算と,この影響の定量化を試みた. 12.3次元鉄骨複合壁体に対する鉄錆の盛衰予測結果に及ぼす防湿層,断熱材の影響を事例的に検討した.また外界空気による海塩相当付着量の,鋼材の発錆と腐食侵攻への寄与を定量的に評価し,耐久性を考慮した壁体構成法を検討した. 13.プログラム開発の遅れから実験測定値を取得できず,この解析法の予測精度検討は,今後の課題として残った.
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