1、市街地再開発事業データの整理による公開的空地の類型化と特異例の抽出 市街地再開発事業の過去のデータ整理により公開的空地には通路(歩道)型と広場型とに大きく分類されるが、さらに接道広場型、接道通路型、貫入広場型、貫入通路型、団地型、人工広場型、サンクンガーデン型、ピロティ型、植栽型、アトリウム型などの類型化による事例の抽出を行なった。 2、類型の典型例と特異例に関する関係者への聞き取り調査の実施とその結果 再開発事業における公開的空地の重要性への認識は一般に低い。ただしA調査や地区再生計画など事業を落とし込む前の地区全体のビジョンや計画を戦略的に持っている場合の行政の指導力によって変わる。水辺や緑など歴史性を含み、公開的空地を地域の特色として人を誘引する考え方は、たまたま他事業との関連など偶然性に依拠している場合にみられる。 3、再開発事業計画参加プロセスおよび公開的空地への第1次配票調査の分析結果 1995年以降に事業完了した市街地再開発事業を対象に配票調査を実施した。110都市163事例に調査票を配り、そのうち回答のあった第1種市街地再開発事業135事例についての分析を行った。 その結果の概略は以下の通りである:(1)公開的空地はおよそ8、9割ほどで設けられているが、地域全体のオープンスペース計画のガイドラインがあるのは2割程度となり、地方公共団体施行の場合に比較的多い。(2)公開的空地の面積は事業敷地の規模によるが、50m^2から2万m^2までの開きがある(およそ8割は1500m^2以内)。その形状は通路型が多く、広場型はその1/3ほどである。(3)公開的空地の位置、形状の決定にリーダーシップをとるのは「行政」(62%)が多く、施行者、コンサルタント、建築設計業はその半数に満たない。権利者からの公開的空地に対する関心は弱く(27%)、さらに周辺住民からの関心は極めて少ない(14%)。
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