本研究は市街地再開発事業によって創出されるオープンスペースのうち建築敷地内の公開的空地について、権利者および周辺住民の計画参加過程において、どのように関係者に認識され、位置づけられ、その形態が決定され、運用がなされているか、の実態を明らかにすることを目的として実施した。調査は以下の構成による:(1)計画参加過程に関する行政の担当者への配票調査を2回に分けて(2001年度および2003年度)実施、(2)管理運営面については再開発ビル管理団体に配票調査を実施(2003年度)、(3)計画参加過程および管理運営に関して行政担当者、管理団体、権利者、計画の実務担当のコンサルタントへの聞き取り調査、(4)空間の形態と利用実態についての現地観察調査。この結果、以下の点が明らかになった。196事例のサンプルを得て分析した結果、公開的空地の形態としては歩道状空地をほとんどの事例が有すが、3割は広場型の空地も有す。比較的公共団体等公的施行主体の方が公開的空地を地区の魅力として積極的に位置づけるが、民間施行主体においては規定に縦う受身的位置づけである。計画過程において権利者には公開的空地の意味や役割について説明がなされるが、権利者からの関心は少なく(25%程度)、さらに周辺住民からの関心は少ない(15%程度)。公開的空地の管理団体は管理業務が中心となるが、利用促進においては管理組合よりも比較的管理会社の方が積極的である。計画過程から後の管理運営まで一貫して公開的空地に気を配る体制がほとんど取られておらず、また公開的空地に関するガイドライン、全体の緑のネットワーク上での位置づけなどが課題として抽出された。管理団体が計画過程から後の管理運営までのタウンマネージメントの一翼を担う組織となる可能性も先駆例に示されており、公開的空地もその戦略の中で位置づけて活用することが課題として挙げられる。
|