建築デザインのプロセスを構成する行動の基本単位の分析を行った。建築家に住宅建築の設計プロセスをデザインに用いた模型、スケッチ、図面等を使用順に示しながら説明してもらい、そこから、設計における基本的行動、思考パターン、建築家と模型、スケッチ、図面等とのインタラクションのパターン等を抽出した。さらに、基本的行動と思考パターンとを構造化することによって、デザインにおける思考と行動のタイプとタイプ間の関係を明らかにした。この結果の一部を論文「Analysis of a retrospective discourse explaining an actual process of designing a house」として発表した。また、建築実務を行っていない一級建築士による自宅の設計プロセスに関するデータを収集した。 前年度に拡張した人間-環境系シミュレーション手法を、さらに、複数の人間のモデルと人間同士の相互作用を扱えるように拡張し、人間-環境-社会系シミュレーション手法を構築した。この手法を用い、地球環境と共生する持続的社会システム実に向けた制度設計のためのシミュレーションを行った。結果を論文「複雑系科学に基づく環境共生型持続社会システムの探究」として発表した。また、学術組織を対象に同様のケーススタディを行い、論文「社会システムとしての学術組織のエージェントに基づくシミュレーション」、「複雑系科学に基づくアカデミック・ソサエティの盛衰予測に関する研究」として発表した。 設計における状況性を微視的に説明するモデルとしてアナロジーの計算モデルの文献研究と構築に着手し、途中経過を論文「『見立て』における類比と対比の定式化と計算アルゴリズムの提案」として発表した。また、計算モデルの妥当性検証のためのデータを伝統的町並の保存を行っている地域において収集した。
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