本研究は日本住宅の短命性の原因と、住宅管理に与える影響を検証することである。これまでに1. 35年前に開発された住宅地の住宅更新状況を調査し、住宅の更新率と、建替え(同一所有者が更新」の実態を把握した。2. 中古住宅流通量に大差がある日本(大阪府・兵庫県)米国(大地震を経験したカリフォルニア州)両国を比較し、持家所有者の財産意識(これらを住居観とする)と住宅取得時に抱く住宅の期待耐用年数との相関性を明らかにし、住居観が新築/中古住宅の指向に与える影響を考察した。日本の戸建て中古住宅比率は地域により差があり、大阪が最も高く次いで京都府・兵庫県である。今回は日本の中では最も中古住宅率が高い地域が調査対象地域であるが、中古住宅比率は20%強で、米国は80%である、両者の差は住宅の需用者意識に本質的な違いあることを表した。日本の住宅所有者は新旧に限らず、住宅取得時において将来同一敷地に居住する予測年は長いが、住宅については短い耐用性しか期待していない。両者の差(期待差)は短く、将来の建替を視野に入れている。一方、米国では、長い耐用性を期待する一方、予測居住年数は短い。この意識の差は中古住宅の需要にも表れ、日本人は中古住宅を経済性を考えた仮の宿りと捉えているが、米国人は伝統的様式や、天然材料に投資価値を認めている。本調査においては建替の実績及び意識は日本にしか無かった。 3 日本において、戸建住宅と集合住宅の所有者の中古住宅意識の相違を比較調査した。中古住宅率は集合住宅の方が高い。戸建中古住宅の需要についても、集合住宅居住者の方が、戸建よりは高いが、その理由は経済性が強い。 4 学生を対象に、生活財のリユース利用及び、意識を調査した。20代の若者は大人に比べると、リユースに対して意織・行動共に合理的であり、日米の中間段階にあることが分かった。しかし、リユース財を使いこなす技術が未熟である。
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