■本年度の研究範囲 本研究の目的は以下の3点であった。 (1)住宅用建築部品の廃棄実態を把握し、耐用年数設定の妥当性及びリュース・リサイクルの可能性を明らかにする。 (2)対象建築部品の廃棄理由を機能面から把握し、今後の機能向上レベル設定の考え方を整理する。 (3)リュース・リサイクルを中心とした建築部品の再資源化を効率的に運用するための、バージン部品における耐用年数と初期所有機能とのウエイトバランス、建築への組み込み方を導き出す。 平成13年度はこの内、(1)と(2)について調査・分析を行ない、その結果から、(3)の一部として耐用年数の延長のための方策を検討した。なお、研究対象は、住宅用建築部品の代表例として、様々な種類の材料によって構成され、リフォーム等で交換・廃棄の対象となりやすいユニットバス(以下UB)を取上げることとした。 ■研究方法と成果 まずUBの交換容易性と、廃棄実態を把握するために、住宅リフォーム会社5社へのヒアリング調査を行った。結果として、居住者がUBを廃棄する際の理由は、破損・漏水・汚れ等の「物理的な耐用性」による理由が多い一方で、バリアフリー化等の新機能を求めるためといった「機能的な耐用性」による更新も多いことが分かった。 さらにUB構成部品それぞれの耐用性や、UB設計時に想定する耐用年数及び、UBの使われ方や耐用性に対する設計方針等を把握するために、UBメーカー10社に対してヒアリング調査を行った。その結果、従前より比較的丈夫な材料で作られているUBは、交換理由と耐用性の関係について、あまり問題にされてこなかった事等が明らかとなった。 これらを基に、UB耐用年数の延長について、以下の3点の提案を行った。 (1)耐久性とコストのバランスを考慮した材料選択 (2)交換部品の充実やストック期間の延長等の環境整備 (3)メンテナンスフリーあるいは容易にできる設計と、ユーザーへの正しいメンテナンス手法の周知
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