本研究は、戸山ハイツの持つ以下のような特徴に着目し、その現状把握および改善方策を検討すること、大規模団地の更新・建替え計画等の評価をすることを通して、高齢社会における集団住宅団地のあり方を考察することを目的としている。 1 東京都地域に立地しており、まとまった広さの公共用地・公共住宅団地である。 2 戦後の復興住宅を昭和40年代に建替えており、その後30年余を経過している。 3 高齢者率が40%を超えており、大量の高齢者集団を形成しているが、多くの高齢者は自立した日常生活わ送っており、今後の高齢化に対する方策が必要と見込まれる。 本研究は大きく、(1)昭和40年代の建替え事業およびその計画の評価を行うことと、(2)戸山ハイツ居住者の現状を把握することに取り組んだ。高齢居住者実態調査(悉皆)において、把握した世帯構成比、男女比、年齢構成が大きな偏りを見せている現状についてのより詳細な分析を行い、アンケート調査を補完するインタビュー調査を実施することによって、多くが高齢者のみで暮らしており、その生活ニーズや住生活の実態が把握できた。また、建替え事業の経過について、当時の雑誌および新聞、住民組織による会報をもとに協議経過等を整理し、その意義を検討した。以上の分析、検討のうえに、今後の団地再生における居住者へのサポートシステムのあり方を検討している。
|