本研究は我が国の高度成長期に建設された建売住宅・団地の変容過程の調査分析によって建替・増改築要因の解明、住戸更新や維持管理に関する近隣の相互影響、景観形成への影響要因等を明らかにする。平成14年度は13年度調査を踏まえて、4つの実施計画を持っていた。順を追ってその成果を記述する。 1)平成13年度までの結果を踏まえて2団地のアンケート調査を行った。その結果高度成長期の建売住宅の増改築・建替は既往研究で指摘されていたような建物の築後年数によるのではなく、世帯主のライフサイクルと関連することを明らかにした。また、我が国では中古住宅購入者は転居時、又は転居後数年で建替が行われるとしていたが、転居時の築後年数とその後の居住年数が逆比例し、中古住宅居住が行われていることも明らかにした。またその結果を踏まえて対象団地の今後の住戸改変の仕組みを予測した。以上を日本建築学会計画系論文集に投稿した。 2)高度成長期の建売団地を概観するために昭40、45〜50、55年度の朝日新聞の全建売団地地広告を抽出し、広告主体が40年度は地方・新興建売業者であったが、次第に大企業に移ってきたこと、エリアの拡大や分譲規模など建売の傾向を明らかにした。 3)建売団地の分譲企業各社より社史を収集し、各社における戦後建売の取り組みをまとめて我が国戦後の建売住宅・団地の歴史をまとめた。この内容は日本建築学会地域施設シンポジュームに投稿した。 4)外構やプラントボックス、クリスマスイルミネーション等街路景観の主要要素に関する調査を行ったが、本年度も継続調査の予定である。
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