本研究も最終年度となった。初年度に調査研究した住宅の建替え・増改築の仕組みについては、前年度日本建築学会論文報告集に投稿し、掲載された。14年度末より外構と団地景観との形成過程についてまとめるべくデータを整理してきたが、論を構築する上で欠けているデータのあることが分かり、次の調査を追加した。 1)調査団地のうち、建築協定のある2団地においては協定の影響があることが分かった。しかし、2団地の協定内容には違いがあり、2団地だけで一般化することが難しかったので、新たに建築協定のある1団地とその団地と隣接し、かつ協定を準備中の1団地について追加調査した。 2)居住者の(主観的な)意識と実態は必ずしも一致していないので、これまでに調査した9団地の各住戸の外構(緑の量、手入れの程度、プランターの有無、塀の高さ)の実態を写真撮影し、それぞれを数値評価した。 3)2団地のクリスマス・イルミネーションの実態を調査した。 以上の結果分かったことの一部は下記のとおりで、日本建築学会論文集に投稿準備中である。 1)分譲時の外構は9団地とも、簡易な門扉と道路面の小さな植栽だけであったが、30年経過して、緑の量、手入れなど団地差ができてきた。しかし、自分の状況に対する主観的な評価の結果はどの団地も差がなく、近隣との相対的な関係で評価していることが分かった。 2)緑化意職(個人の緑と団地景観との関係に対する考え)の高低は外構の実態(緑の量、手入れ)と関係がある。また、建築協定の状況は緑化意識、外構の実態と関係がある。 3)協定の認知度、緑化意識の程度、緑の量、手入れ度は世帯主の年齢が高いほど高い。世帯主の年齢は居住年数と比例するが、居住年数は緑の量等に関係あるとはいえない。
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