研究課題/領域番号 |
13650689
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
都市計画・建築計画
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
小玉 祐一郎 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (90108209)
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研究分担者 |
齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (90195967)
渋谷 鎮明 中部大学, 国際関係学部, 助教授 (60252748)
浦山 隆一 九州職業能力開発大学校, 助教授
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 沖縄 / 八重山 / 抱護林 / 集落 / 風水 / 環境管理 / 自然環境 |
研究概要 |
本研究課題において得られた知見は以下の3点である。 1)八重山諸島の島々を高島・低島に分け、低島の竹富島を例に、近世から近代にかけての集落移動・住居移動、およびその際の空間構成原則の引継ぎの状況を検討し、御嶽を背後として本家-分家が配置される点や、微地形とそれらの配置が関連づけられることなどが確認された。さらには以前にメンバーが研究した高島との比較から、低島においても微地形がある程度の意味を持ち、集落移動や村立ての際に何らかの影響を与えたのではないかという点、そして主として建築学における八重山の集落研究の際に集落の家屋群(居住域)以外の周辺環境への配慮が必要になるのではないかという点を感得した。 2)本研究のような八重山集落の調査研究の際に歴史資料、古地図、地籍図、インタビューを重ね合わせる方法の有効性についても明らかになった。なお、上記の調査の際に用いた歴史資料、古地図、地籍図、インタビューを重ね合わせる総合的な研究手法が、八重山の多くの集落研究において有効であることが確認された。 3)八重山諸島の集落における伝統的な環境管理システムとしての人工林、「抱護林」に着目し、各種資料から復元を試みた。それによって、抱護林が環境保全だけではなく、風水、境界などとしてのきわめて複合的な意味合いを持つことが確認された。特にこの点については、本研究課題にきわめて適合する対象であり、さらなる成果が期待できるものと考える。具体的には石垣島四箇村、平得の消失した抱護林について明治34~35年の土地測量図や地籍図、第二次世界大戦時の空中写真などから復元を試みた。それによって、抱護林が環境保全だけではなく、風水、境界などとしてのきわめて複合的な意味合いを持つことが確認された。同時にその抱護の思想について蔡温の『山林真秘』、『杣山法式帳』などの近世の林政資料や鄭良佐の『北木山風水記』などの風水見分記を読み込み、沖縄においては山や林に囲まれる「抱護」が良い状態と考えられ、しかもそのために植林がされる点が確認された。 同時に集落の抱護林が現存する多良間島に赴き、現地調査を行った。それにより、現在も抱護林が住民・あるいは行政の手によって保全されている例が明らかになった。
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