平成13年度は以下の2回にわたり、トスカーナにおける現地調査と資料収集を行った。実績の概要を示す。 1.マグラ川流域のルニジアーナ地域の調査(平成13年9月8日〜17日) 対象とした小都市は、(1)ポントレーモリ(2)フィヴィザーノ(3)ヴェルコラ(4)アルビアーノ(5)カプリリオーラ(6)フォスディノヴォである。中世後期の11世紀以降、マグラ川上流に沿ってアペニン山脈を超えフランスに至る遠隔地商業ルートであるフランチジェナ街道がこの地域の形成に多大な影響を与えていること、また、この地域の封建領主マラスピーナ家がマグラ川流域に築いた数多くのカスデロ(城砦都市)が、14世紀末までの中世後期の地域形成の核となったことが明らかになった。 2.セルキオ川流域ガルファニャーナ地域の調査(平成14年2月9日〜26日) 対象とした小都市は、(1)カスティリオーネ・ガルファニャーナ(2)カステルヌオヴォ・ガルファニャーナ(3)バルガ(4)コレリア・アンテルミネッリ(5)ノッツァーノである。11世紀以降、トスカーナのルッカ共和国とアペニン山脈の北側のエステ家がこの上流域に介入し、その後フエレンツェ共和国も複雑に絡んでこの流域の形成が進んだことが明らかになった。
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