研究概要 |
概ね当初掲げた研究計画に従って進行していると考える。 1.既に実測済みのロマネスク教会堂・回廊の平面実測データの整理と図面化に関しては,全てを終了はしていないものの八割方終了し,同一フォーマットでのデータベースの作成,フィルム上での実測図浄書を行った。 2.関連文献資料・図書の収集については,入手が比較的困難なものが多く,入手したものは多くはないが,研究上重要なものは入手できた。 3.計算機を用いて実測値から尺度候補を導く方法の改善については,エクセル等の既存ソフトの組み合わせで通常のパソコンで行えるものに改良することに着手した。次年度も継続する。 4.実測図面上での基礎図形と寸法構成に関する分析を,図面化の終了しているものについて,同一方法・視点で行い始めた。数象徴や幾何図形象徴の分析の基礎となる作業であり,次年度も引き続き継続する。 5.比較的軽微な補足的平面実測調査を実施した。初期ロマネスク建築の問題から,スペイン・カタロニア地方のカルドナのサン・ヴィセンテ,盛期ロマネスクに関して巡礼路教会堂のスペイン・フロミスタのサン・マルティン・末期ロマネスクに関してシトー会修道院のスペインのヴァルブエーナ,イタリアのティグリエート,リパルタ・スクリヴィアの各教会堂の平面実測を行い,サンチャゴ・デ・コンポステッラ大聖堂,アルコバーサ修道院・キアラヴァッレ修道院等関係建築の見学調査を行った。これらの写真整理,実測データ分析,実測図制作は未着手である。 全体としては,最終的な結果を得るための必要材料は概ね準備ができ,一部分析・考察に着手した状態である。次年度は,分析・考察に力点を置き,補足調査も再度行う。
|