研究概要 |
ナノサイズ磁性ドット列を作製し、微小トンネル接合およびナノ磁性細線の電気伝導特性を調べることが目的である。研究2年目は、研究遂行のために必要な材料探索および装置の改良を行なった。 1.ドット列作製に必要な尖鋭針の形状解析:初年度にはスパッタ法により、ナノサイズの先端を持つ非常に長い尖鋭針の作製手法を確立した。今年度にはその形状解析を行ない、スパッタ率の角度依存性との関連について考察した。その結果、針の長さと先端開き角がそれぞれ約50度,70度のイオン入射角におけるスッパッタ率に依存して決定されることがわかった。これにより、各種材料に対する針形状を予測可能となった。 2.金属ナノ細線の作製:初年度に作製したTEM特殊ホルダーを用いて金を例としたナノ細線の作製が可能であることを確認した。このこと自体は新規事項ではないが、今後の磁性ナノ細線研究のために必要な事項である。 3.ナノドット作製用TEMホールダの改良:初年度に作製したホールダには1本の針しか装着できない。異種材料からなるドット列作製のために、2本の針を装着可能なホールダの設計・作製をした。これまでのところ200μm程度の粗動と40μm程度の微動を実現できた。現在調整中。 4.磁性ナノ粒子分散膜研究のための装置開発:ナノ粒子研究の効率化をはかるために、粒子密度の異なる複数の分散膜を同時に作製できる装置を作製した。特殊形状シャッターの回転によって磁性粒子密度を制御するものであり、単純な設計である。Fe-MgO系において10%程度の変調を実現できた。この装置は、分散膜研究のみでなく、各種薄膜研究に応用可能である。 5.Yb酸化膜を用いたトンネル接合:Al_2O_3、SiO_2に代るトンネル用絶縁膜の探索とナノドット列研究の比較データ取得のためにこの研究を行なっている。Auを電極とした15x15μm^2の接合において、トンネル伝導を確認した。報告者の知る限り、このような報告例はない。
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