研究課題/領域番号 |
13650711
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 大阪府立大学 (2002) 東北大学 (2001) |
研究代表者 |
今野 豊彦 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90260447)
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研究分担者 |
平賀 賢二 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30005912)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 時効析出型合金 / 電子顕微鏡 / 走査型透過電子顕微鏡 / 整合析出 / Al-Cu系合金 / Al-Ag系合金 / Al-Li-Cu系合金 / GPゾーン |
研究概要 |
1.Al-Cu系: 析出初期のGP-IからGP-IIに変化するメカニズムに関して、HAADF-STEM法によりGP-Iが混在する状況を詳細に検討した結果、3つのAl層がCu単原子層により挟まれているGP-II構造が最初から多数存在し、それが安定して成長するという考え方を提出した。また、θ'相がGP-II上に核生成することを示す写真もHAADF-STEM法により撮影した。 2.Al-Li-Cu系: 時効前期過程においてGP-Iゾーン上に析出するδ'相は初期段階においてはランダムに析出するが、時効が進むにつれてGP-Iゾーンを挟む二つのδ'相は必ず逆位相の関係にあることを見出し、その理由としてLi-Cu-Li結合が高いエネルギーを持つからであることを指摘した。そしてこの逆位相の関係にあるδ'-GPI-δ'の構造体は通常のAl-Cu系でGP-Iゾーンが安定とされている温度域よりはるかに高い220℃でも安定に存在することを示した。 一方、時効後期過程においてはθ'相およびT1相が主要な析出相であるが、これらの相について次の点を明らかにした。 (a)θ'相はAl-Cu2元系の場合では正方晶に属するがAl-Li-Cu系において、c方向の格子定数が増加すること。さらにAlマトリックスの{100}より傾いて成長する場合があることを見出した。そしてこの原因がLiのθ'相への固溶に起因すること及びTB相との関連を指摘した。 (b)T1相についてはLiの不足に伴ってAl-Cu-Mg系などで頻繁に見出されるω相に連続的に変態することをHREMにより見出した。また、高分解能電子顕微鏡のシミュレーションからAlマトリックスに対しω相は二つのバリアントを持つこと、そして、これらのバリアントにT1相から連続的に成長が進むことを実験的に示した。 3.Al-Ag系: 粒状GP相を詳細にHAADF-STEM法により調べた結果、この段階ですでに{111}面に沿ってAgがnmオーダーで強い濃度分布をもっていることが判明した。
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