研究課題/領域番号 |
13650717
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松尾 進 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (10023293)
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研究分担者 |
中野 裕司 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (40198164)
石政 勉 北海道大学, 工学研究科, 教授 (10135270)
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キーワード | 準結晶 / 反強磁性 / 磁気秩序 / フェリ磁性 / シミュレーション / フェイゾン空間 |
研究概要 |
正20面体相準結晶Zn-Mg-Ho準結晶の構造モデルのHo原子位置にIsingスピンをおいた系で、Ruderman-Kittel-Kasuya-Yosida型のスピン間距離に対して振動的な相互作用を仮定して低温における磁気秩序状態に関するシミュレーション計算を行った。局所的なスピン状態更新にMetropolis法を用い、simulated annealing計算を行った。Ho原子間の最短の距離と第3近接の距離が反強磁性的相互作用、第2近接と第4近接の距離が強磁性的相互作用の場合、反強磁性的な長距離磁気秩序が実現した。系のスピン数が12524個と67896個の両方の場合とも磁気秩序は系全体にわたって実現していることが、磁気回折図のシミュレーション結果から分かった。本研究課題申請前に行っていた予備的な研究では第2近接距離までのスピン間相互作用を取り入れていて、その場合も反強磁性的な長距離磁気秩序が実現したが磁気秩序は系全体にわたっていなかった。系全体にわたる反強磁性的長距離磁気秩序が実現するためには、第2近接距離を越えた相互作用を取り入れることが必要であることがこの研究で分かった。実現した反強磁性的長距離磁気秩序を、準結晶の特徴であるフェイゾン空間で解析した結果、この磁気秩序はフェイゾン空間におけるスピン領域の分割という、従来の周期結晶には存在しない全く新しい型の磁気秩序であることが分かった。シミュレーションによる磁気構造の研究に関連して、準結晶の構造と磁性に関する実験的な研究も行った。
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