1.NaCo_2O_4系酸化物における部分元素置換のサイト選択性 現時点で最も優れた酸化物熱電材料であるNaCo_2O_4のNaサイトをNiでイオン交換することにより導電率のみの、CoサイトをNi置換することによりゼーベック係数のみの減少が認められたため、構造パラメータ・導電率・ゼーベック係数・キャリア移動度などの置換量依存性を詳細に検討した結果、Coサイトへ選択的にNiが置換することでスピン交換によるエントロピー輸送を抑制している可能性が示された。 2.LiV_2O_4系酸化物の合成と輸送特性の評価 NaCo_2O_4と同様の層状結晶構造を持つLiV_2O_4、およびLiVO_2の熱電特性を測定したところ、ゼーベック係数は大きな正の値をとるものの、導電率はかなり低く、その温度依存性は半導体的であった。VサイトへのMgやCaの部分置換固溶によるホールドープを検討したが、導電率の向上には至らなかった。heavy fermion系と同程度の電子比熱係数を示すことから、輸送エントロピーによる有効質量が極めて大きいためと思われる。 3.NaCo_2O_4系酸化物における非化学量論制御 NaCo_2O_4を通常の固相反応法で合成する際に生じるNa非化学量論性の抑止を目的として、CO_2分圧の制御を検討した。pCO_2=1atmでは、反応物である炭酸ナトリウムの分解は完全に抑制されるものの、目的生成物であるNaCo_2O_4の生成反応は停止した。O_2雰囲気でpCO_2=0.01atmとすることにより、炭酸ナトリウムの分解を抑制したまま目的物を合成できることを見出した。 4.ZnO系酸化物における微細構造制御と輸送特性との関連 PMMAなどの有機樹脂微粒子を分散させ、不活性雰囲気下で焼結することにより、ZnOマトリックス部分が緻密に連続しつつ内部に微小な空孔(ナノボイド)を有する微細構造が実現できることがわかった。これにより導電率はほぼ不変のまま熱伝導率を最大35%低下させることができた。さらに、ナノボイドの効果でゼーベック係数が巨大な負の極値を示すため、性能指数の大幅な向上が実現できた。ナノボイドによるフォノンの選択散乱と巨大エントロピー輸送の両立が示唆される。
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