研究課題/領域番号 |
13650750
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 充典 北見工業大学, 工学部, 教授 (40281878)
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研究分担者 |
陳 健 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (90241588)
山下 努 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (30006259)
伊藤 英信 北見工業大学, 工学部, 助教授 (90113703)
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キーワード | ウィスカー / Teドープ / Bi-2201 / Bi-2212 / Bi-2223 / c軸 / 固有ジョセフソン効果 / THz帯 |
研究概要 |
Bi系高温超伝導体、Bi_2Sr_2Ca_<n-1>Cu_nO_<2n+4+δ>でn=1のBi-2201(超伝導臨界温度Tc : <20K)、n=2のBi-2212(Tc : 85K)、n=3のBi-2223(Tc : 110K)は、超伝導層と絶縁層がジョセフソン接合していて、これがc軸方向に積層された構造をとっている。そこで、この固有ジョセフソン効果を利用してTHz帯の高周波デバイスへの可能性が理論的に予想され期待されている。これを実現するためには、ほとんど欠陥のない単結晶の育成が不可欠である。現在、最も完全結晶に近いと考えられるウィスカーが注目される。これまでに、Bi-2201とBi-2212ウィスカーは、融体急冷による非晶質体を熱処理することによって育成されてきた。しかし、Tcが高く液体窒素77Kに対して温度マージンの大きいBi-2223ウィスカーの育成には成功していなかった。 本研究では、Teをドープした(BiPb)SrCaCuTeO仮焼粉成形体から急冷・非晶質化を経ることなく、ウィスカーの育成を試みた。育成したウィスカーについて、X線回折、電子線マイクロアナライザーで調べるとともに、臨界温度Tc、臨界電流密度Jc、さらに、c軸方向の電流-電圧(I-V)特性から固有ジョセフソン特性を測定して、結晶性を評価した。Bi-2201、-2212,、-2223相全てについて結晶性のよい単結晶ウィスカーの育成に成功した。ウィスカー相は母相の構造と一致している。特に、Bi-2223ウィスカーは、Bi-2223相単相の母相からのみ成長する。Bi-2212、-2223ウィスカーでは、c軸方向に明瞭な固有ジョセフソン効果が観察され、THz帯の高周波デバイス、単電子対デバイスなどの実現に貢献するものと考えられる。
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