研究概要 |
近年開発されている多くの耐熱鋼は、焼き戻しマルテンサイト組織を有し、母相中には2種類の析出物(M_<23>C_6およびMX)が分散している。これらの析出物はクリープのしきい応力を高めるとともに、高密度の転位組織を安定化するのに寄与している。耐熱鋼の焼戻しマルテンサイト組織は極めて熱的に安定であるが、応力付加状態では析出物が粗大化し、ラスマルテンサイトの間隔が広くなるとともに、転位密度が低下して高温強度特性が劣化する。劣化の機構を解明することは,高温部材の寿命予測に必要であるともに,新材料開発にとって不可欠な情報である. 本年度は改良9Cr-1Mo鋼のラスの成長過程を硬度測定とTEM観察を通して調査し,ラス組織の変化を定量的に記述する式を提案した.また,ラスの成長過程を考察し成長過程のモデル,硬度変化とクリープ寿命消費率との関係を定式化するとともに,実験式を合理的に説明するモデルを提案した.現在,投稿準備中である. 析出物の成長が歪に依存する転位モデルを提案し,その実証のために計算機実験,既存のデータの解析を行った.結果は近々発表の予定である.また,提案したモデルの実証のためにアルミニウム基の高温材料を対象にしてオストワルド成長に及ぼす歪の影響を実験的に検討した.結果は近々投稿する予定である.
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