研究概要 |
本研究により、Fe-5〜12%Cr-6〜30%Mn-0〜4%Co合金の減衰能に対する(イ)Cr, Mn, Co, N等の合金元素(ロ)熱加工処理、及び、(ハ)微細相組織等の各因子の影響を解明すると共に、高強度高減衰能特性を有するFe-Cr-Mn-Co合金を開発した。以下にその結果について簡単に記述する。 (1)Fe-5〜12%Cr-6〜30%Mn合金につき、1100℃、1hrの溶体化処理後水冷した材料につき、室温にて15〜50%の冷間圧延した材料では、Fe-12%Cr-22%Mn合金において最も高い減衰能が得られた。減衰能に対するα及びα′相(bcc及びbct)、γ相(fcc)及びε相(hcp)の影響を調べた結果、α相(α′相を含む)及びγ相は減衰能を高める効果はなく、ε相のみ減衰能を非常に高める効果があることが明らかになった。 (2)Fe-12%Cr-22%Mn合金に対し2〜4%Coを添加することにより、減衰能は更に増加し、4%Co添加により本合金系で最大の減衰能を示した。 (3)Fe-12%Cr-22%Mn-0〜4%Co合金に対し0〜230℃の範囲で冷間圧延し減衰能を測定した結果、87℃での圧延、またその後の-50℃でのサブゼロ処理により最も高い減衰能(Q^<-1>:9x10^<-3>,5x10^<-6>の歪振幅において)を示した。 (4)同合金を工作機械のシャンク材に適用し、優れた性能を発揮することも明らかになった。
|