研究概要 |
金型用セラミックス素材として開発したTiB_2-B_4C系複合焼結セラミックについて、ワイヤカット型放電加工機による放電加工特性を評価した.B_4Cを0,20,40,60及び80mol%含むTIB_2-B_4C系複合セラミックス(焼結助剤無添加)を,真空中で温度1680-1750℃,時間720s,プレス圧40.0MPaで放電プラズマ焼結(SPS)し,放電加工特性及び加工面の機械的及び電気的特性、走査型電子顕微鏡(SEM)による加工前後の表面組織変化を調査した.その結果,次のことがわかった. (1)B_4Cを0〜80mol%含むTiB_2-B_4C複合体は,すべて放電加工による切断が可能であった.本研究の初期の目的が達成できた. (2)B_4C含有0〜60mol%の試料に対してワイヤカット放電加工を行った場合,加工速度33〜66μm・s^<-1>加工電力26〜44W(加工電圧63〜69V,加工電流0.36-0.69A)であった.ダイス鋼の放電加工条件で,安定な高速加工が可能であった.導電性の小さい80mol%B_4Cを含む試料の場合は,加工速度や加工電力が極端に低下し,それぞれ8.0μm・s^<-1>,加工電力0.28W であった. (3)0〜80mol%B_4Cを含む複合焼結体の放電加工後の機械的特性は,ビッカース硬変22.9〜38.2GPa,3点曲げ強度437〜643MPa,平均表面粗さ(Ra)0.7〜2.3/μmを示した.硬度や曲げ強度は,加工前と比較して70〜80%程度の強度を保持できることが分かった.表面粗さはかなり大きくなった. (4)0〜80mol%B_4Cを含む複合焼結体の放電加工後の電気伝導度は,2.67〜6073kS・m^<-1>でありB_4C含有量に大きく依存する特性を示すが,放電加工前後で大きな差はなかった.
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