研究概要 |
平成14年度は,本法によるアルミニウム粉末の連続固化を試みるべく,まず,過度のコンテナ回転によるせん断割れ発生に関連し,割れを生じない回転率の上限を調査した.その結果,割れの発生を防ぐには,コンテナ1回転あたりラムの移動を,98MPaの圧力下では5mm以上,147MPaでは1.5mm以上にする必要があることがわかった.その知見のもとに,本法による間欠押出し(断面減少率11.5%,1回あたりのラム押し量5mm)でアルミニウム粉末の連続固化を試みた.アルミニウムのバルク材を先行材として回転コンテナの上流端まで装填し,それに続けてコンテナの横断面より少し小さ目に圧粉したビレット(重量2g,圧粉圧力147MPa,相対密度0.87,長さ5.0〜5.1mm)2個を装填し,第1段階の押出しを行い,以後は押出し完了ごとにビレット1個を追加供給し,押出しを継続する.まず試行1として,前年度の研究で適当とされたL=D(L:胴長,D:正6角筒の対面間距離14mm)の回転コンテナを用い,それを押出ダイスより17mm上流に配置した当初計画での押出しを試みた.結果は,材料のコンテナとの摩擦による押出力の著しい増加により第2段階に進めなかった.そこで摩擦を軽減すべく,試行2として,押出ダイスの直上に回転コンテナを配置した押出しを試みた.しかしこの方法でも第3段階に進めなかった.そこで試行3として,さらに摩擦を軽減すべく,せん断変形導入箇所が1箇所であることから,L=D/2の回転コンテナを用いて同様の押出しを試みた.これでも第5段階に進めなかった.予期に反する結果になり,当初計画の本法による押出材の性状についての調査はまったくできなかった.しかし,本実験を通して,圧粉体の境界はせん断変形の導入により消滅し得ることがわかった.実験が失敗に終わったので,公表に値するような成果は得られなかったが,何等かの対策を講じて,是非とも実験を成功させたい.
|