研究概要 |
マグネシウム合金はアルミニウム合金に代わる次世代材料として期待され,研究が盛んに行われている材料である.しかしながら,鋳造性や加工性とともに耐摩耗性の低いことが利用上の大きな問題となっている.表面に適切な高硬度および厚さを有する異種材を被覆することができれば,表面特性は飛躍的に向上できるので軽量構造用材料としての利用範囲は大きく広がると考えられる. 異種材を被覆する方法としてめっきや溶射などがあるが,従来法では適切な膜厚や接合強度が得られにくく,また難接合性材料であるマグネシウム合金においては従来法の適用が困難である.したがって,これまでにマグネシウム合金への異種材の適切な接合加工法は見あたらず,その技術開発が強く求められているのが現状である.そこで,本研究では,マグネシウム合金の表面特性を向上させるため,小径鋼球であるショットによる硬質材接合を行うことを主な目的として行った.その結果,平成13年度では温間加工が可能である高温型投射装置を用い,小径鋼球の投射速度,投射密度,試験温度および接合表面状態などの加工条件が材料と硬質金属との接合にどのような影響を及ぼすのかを明らかにした.平成14年度から15年度では,超硬合金やセラミックスのような変形しにくい硬質材料の接合加工も試み,硬質粉末材を用いること,バインダー材を用いることおよび熱処理を行うことなどの工夫により,硬質材料の接合加工を行い,最適な接合条件を明らかにした.さらに,接合が可能であった材料については摩耗試験も行い,摩耗性と接合条件の関係を明らかにした. 以上より,本研究で得られて結果をまとめると,小径鋼球であるショットの衝突を用いた加工法,すなわちショットピーニング加工法を用いた異種材料の接合加工法は,マグネシウム合金の表面特性を向上させるためにかなり有効な手法の一つになるであることが分かった.
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