研究概要 |
木材を粉末状(チップ)に粉砕し,これを圧縮成形して固形化する技術が開発されれば,任意形状の高強度な木質製品の製造が可能になる.また,木材を粉末状に粉砕して使用するため,間伐材,枝打ち材,木材として利用価値のない曲がった樹木なども材料として使用でき,森林の有効利用と同時に生産性の向上が期待できる.本研究では,木材以外の他の物質(廃棄の際に問題となる石油系の接着剤など)を一切使用せずに,木材粉末のみを固形化する技術の開発を行うために木材粉末の圧縮特性の把握と複雑形状部品のニヤネットシェイプ成形の可能性を検討する. 本年度は,木材粉末のニヤネットシェイプ成形の可能性と得られた成形品の機械的特性について検討した. 1.木材粉末の流動性の把握:ニヤネットシェイプ成形における木材粉末の流動性を調べるために,押出し比を種々に変化させて押出し成形を行った.そして,木材粉末の流動性に対する最適な加工条件(粉末の粒径,含水率,加工温度および成形圧力など)を明らかにした. 2.複雑形状部品の成形:上記の最適な加工条件のもとで射出成形を行った.その結果,木材粉末のニヤネットシェイプ成形の可能性が明らかとなった. 3.逐次押出し加工による長尺棒の成形:ダイス内に粉末を少量ずつ充填しては押出しを繰返して長尺棒を成形する逐次押出し加工を行った.そして,木材粉末の再充填部の接合が良好な成形体を得るための加工条件(再充填部の温度,押出し比,成形圧力,粉末の粒径および含水率)を明らかにした. 4.成形品の機械的特性の検討:得られた成形体の硬さ試験,曲げ試験,密度測定を行い,機械的特性に及ぼす加工条件の影響を明らかにした.また,成形品を半割にして木材粉末の接合状態を調べ,木材粉末の接合状態と機械的特性の関係を明らかにした.
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