研究概要 |
液滴振動法、静滴法の2種類の方法で表面張力の測定を行った。二つの測定法において、共通の試料、共通の雰囲気ガスを使用することにより、両者の測定結果を比較検討する事ができた。測定雰囲気は白金アスベストと過塩素酸マグネシウムを通して精製した水素を3%含むアルゴンガスである。 液滴振動法による測定では微小重力環境下で測定を行い、液滴の単純な表面振動から表面張力を測定する事ができた。Niの表面張力を1300℃〜1820℃の範囲で、Siの表面張力を1084℃〜1600℃の範囲で測定し、測定値のバラつきはNi,Si,ともに2%以内である。 静滴法による測定では、液滴の写真を2方向から撮影して形状の対称性が確認できたデータだけを使用している。画像の撮影にはレーザーとバンドバスフィルターを組み合わせた光学系を使用しており、自発光の影響を排した鮮明な画像を得ることができた。さらに、滴下管を採用することにより、昇温中に液滴と基板が反応することを防いでいる。静滴法で使用する基板には、Niの測定時にはアルミナを、Siの測定時にはボロンナイトライドを使用した。Niの表面張力を1500℃〜1600℃の範囲で、Siの表面張力を1450℃〜1600℃の範囲で測定した。測定結果のバラつきは3%以内である。 2つの方法の測定結果は良い一致を示し、液滴振動法での測定の妥当性を確認する事ができた。測定精度、測定温度範囲ともに液滴振動法が静滴法に優っており、液滴振動法の有利さが確認できた。
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