研究概要 |
本研究では、まず、分散めっきに適した安定で析出速度の高い無電解めっき浴の選定を行なった。その結果、錯化剤としてコハク酸とリンゴ酸を用いた酸性Ni-Pめっき浴がこの目的に適合することを見出した。次いで、各種半導体微粒子を金属薄膜中に分散した複合膜の作製とその光電気化学特性、光触媒性を検討し、TiO_2微粒子を分散させた場合、光電気化学特性が優れていることを見出した。そこで、無電解Ni-P合金めっき浴中に半導体微粒子のTiO_2を分散させた複合薄膜の作製条件ならびに、膜の表面状態、分散粒子の共析率および光電気化学特性および光触媒性を調べた。まず、表面のSEM観察から、TiO_2微粒子が数μmないし数十μmオーダーで凝集していることが明らかとなった。一方、巨視的にみると、TiO_2粒子が表面に占める割合(表面占有率)は、膜厚とともに増加し、膜厚4μm以上では、約60%で飽和することが分かった。 次に、TiO_2を分散した複合膜を作用極とし、0.1M NaOH水溶液電解質中でPtを対極として、紫外光照射し、その光電流を測定した結果、同複合膜において、光照射に伴い光電流が生じることが分かった。同法により、光機能性をもった複合薄膜が得られることが明らかとなった。さらに、浴条件や撹拌,基板の固定方法の作製条件を変えて、膜中の半導体微粒子の共析量と光電流密度の関係を整理すると、両者の間にほほ直線的な関係が認められた。さらに、同膜をメチレンブルー溶液に浸漬させ、紫外線を照射することによりメチレンブルーの分解が観察され、同膜の光触媒性が確認された。
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