研究概要 |
本研究では、光学部品に多用されている光学ガラス(BK7など)を対象とした超精密加工における加工品位及び加工能率の改善を最終目標として、現有の微細加工用の走査型プローブ顕微鏡(SPM)システムを用い数nm〜数十nmの切込みで加工し、同時に加工面形態を分析することによって、延性モードの加工メカニズムを解明することを第一の目的とする。これと並行して、観察用SPMシステムを組込んだ超精密加工試験機を用いた数十mn〜数百nmの切込みの単粒加工による研削シミュレーション試験と実際の研削加工試験を行い、延性・ぜい性遷移点を把握するとともに、高能率・高品位加工が可能な延性モード研削の可能性を明らかにすることを第二の目的とする。 平成13年度は、既に試験方法及び評価方法を確立させたSPMによる微細加工試験を、光学ガラス(BK7,BaF10,SF11)に適応し、延性モード領域からぜい性モード領域にかけて、点状、及び線状の加工を行い、探針荷重(切込み)、工作物材質、工作物温度(室温〜400℃)などの加工条件と加工量及び加工面形態の関係を調査している。これにより、延性モード領域の加工メカニズムの究明をするとともに、ぜい性モード領域のクラック発生と工作物温度の関係を把握する予定である。 また、現有の超精密加工試験機(最大主軸回転数10000rpm、切込み精度10〜20nm)に、微小切込み制御と工具-工作物間の相対振動除去の制御を行うためのデュアルサーボを組み込み、微小切込みの分解能及び安定性を改善し、これを用いて、研削におけるダイヤモンド砥粒先端と工作物の作用をシミュレートする目的で、光学ガラス(BK7)をダイヤモンド工具(ビッカース圧子)で単粒加工試験を実施中である。ここでは、延性モード加工からぜい性モード加工に変化する加工単位(切込み)、すなわち延性・ぜい性遷移点の概略把握を行う予定である。
|