2cm角、厚さ1mmの石英チップ上に作製した断面積150×500μm^2のマイクロキャピラリ内に大気圧He、Arプラズマを10W以下の低電力で生成するRF励起マイクロプラズマ発生装置を試作した。この装置は重量約5kg、縦横25cm四方で容易に持運びができる為、ユビキタス時代のプラズマ源である。さらに、マイクロプラズマの発光分光分析から原子励起温度が、Heで2000-2500K、Arで5000K程度と見積られた。このマイクロプラズマ源の材料処理への応用として、2cm角のポリエチレンテレフタレート(PET)チップ上のφ0.5mmキャピラリ内壁のプラズマ表面改質やSiO_2薄膜コーティングをおこなうことで、キャピラリの電気浸透流を制御することに成功した。また、内径0.5mmのテフロンチューブ内壁の親水化をおこなった。テフロンチューブにHeガスを導入して、プラズマ励起用平行平板電極間にチューブを挿入し大気圧でプラズマを生成した。He流量、RF電力、処理時間をパラメータとしてテフロンチューブ内壁の濡れ生を調べた結果、流量2001m/min、処理時間15sで濡れ性が最大になり、この時X線光電子分光(XPS)測定より内壁表面に極性官能基C=0等が導入されている事が判った。さらに、SEM観測からプラズマ処理後の内壁はエッチングにより平滑化されていることが明らかになった。 この他に、マイクロプラズマ局所領域材料処理への応用として、大気中で外径0.5mm以下の注射針先端からマイクロプラズマジェットを生成し、ガラス基板に塗布したホトレジストのO_2プラズマによる局所剥離や、He/SF_6/O_2プラズマを用いたSi基板のポイントエッチングで170μm/minのエッチング速度を実現した。
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