研究概要 |
1.加熱炉の評価実験:(1)試料をサンドイッチする加熱方式とした.絶縁材はアルミナシートとしたが,板厚が薄い方がS/N比が良い.板厚0.15mmまで製作したが,製作技術・取り扱い・浸炭防止の諸点を考えると,ほぼ限界と考えられる.ヒーターは焼結により製作された板厚0.5mmのカーボンシートとしたが,ヒーターカバーとしてBNシートを利用することにより.十分使用可能であると考えられる.(2)イメージング像の放射光エネルギー依存性については約30keVが適切である.高エネルギー(40keV以上)では吸収コントラストが弱まる.(3)表面凹凸・粗度については機械研磨・電解研磨仕上げであれば,屈折イメージング像に影響ない. 2.検出器の評価実験:サチコン管直接法X線テレビに,オンライン画像処理装置を組み合わせて高感度・高時間分解能・高空間分解能かつ定量性も有する観察が実現し,実験目標達成が可能となった.空間分解能としてはほぼ10μmである.時間分解能としては1/3秒で,高感度=低ノイズ観察が可能である.イメージングプレートは空間分解能が不足し,X線フイルムは非線形のアナログ測定となる.ビジコン管直接法X線テレビは空間分解能において劣る. 3.最適手法の検討とまとめ:SPring-8においては放射光エネルギー約30keVで直接法X線テレビ(サチコン管方式)による方法が鋼板の屈折イメージング像及び吸収イメージング像の直接高温観察の最適手法である.絶縁材は薄いアルミナシート,ヒーターは薄い焼結カーボンシート,ヒーターカバーとしてBNシートを利用して試料をサンドイッチする加熱方式が加熱の最適手法である.
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