複合化鋳造法は鋳造を利用した異種部材接合、複合化の手法である。本研究は溶湯と心材の形状と寸法および注湯条件等から接合状態を予測判定する方法の提案を目的とする。本年度のおもな研究項目と成果は次のとおりである。 1.【解析手法の検討】解析計算に用いる境界条件、物性値等の要因が計算結果に及ぼす影響について詳細に検討し、実験結果の解析に必要な手法をほぼ確立した。 2.【鋳鉄円筒端面への軟鋼心材の接合実験と解析】体積比を変えた中実および中空円筒状鋳鉄鋳物の端面に軟鋼心材を接合させる実験とその解析を行った。端面接合では心材埋設型鋳ぐるみの3倍の体積比を要した。解析により「高温の心材が液相状態の溶湯と約100s接触する」との接合条件によって、これらが統一的に理解できることを明らかにした。 3.【端面接合における寸法効果】同一形状および体積比で寸法を変化させた場合の接合状態を、上で得た接合判定条件を用いてシミュレーションで評価した。その結果、同一体積比でも、接合に適する寸法範囲があり、寸法が過小でも過大でも接合しないとの新知見を得た。またこれを実験によって一部確認した。 4.【心材の溶融条件の検討】鋳鉄溶湯による鋼心材の溶融条件を実験と計算で検討した。溶融は浸炭過程によって律速され、高温溶湯による初期溶融と、長時間浸炭による後期溶融があることを明らかにした。 5.【心材がWC-Co合金の場合の実験と解析】鋳鉄溶湯によりWC-Co超硬合金を接合する場合の熱的条件と、溶湯成分の拡散合金化、融点低下による接合の機構を、実験と計算によって明らかにした。
|