研究概要 |
本研究では不均質核生成の本質を明瞭にするために、触媒(核生成誘因物質/作用剤)によって誘発的に核生成された初晶の相違に注意を払いながら、実験的アプローチがなされた。工業用鋼では、Al_2O_3,Ti_2O_3およびTiNのような酸化物および窒化物が常に懸濁しており、凝固中、触媒として作用するかもしれない。こうして過飽和のためにAl_2O_3,Ti_2O_3およびTiNを含む純FeおよびFe-Ni合金の過冷度が系統的に測定された。 Al_2O_3,Ti_2O_3およびTiNを含む純FeおよびFe-Ni合金(Ni濃度:1から29mass%)におけるDSC熱解析において、いくつかの重要な特徴がわかった。まず触媒、化学組成および核生成された初晶の間の関係が明らかにされ、それから臨界過冷度が界面自由エネルギーの観点から議論された。 1.これらの合金における冷却中の非平衡相の出現は、化学組成(Ni濃度)だけでなく用いた触媒の種類に大きく依存し、3つ場合に分類される。(1)凝固がδ相の単相状態で終了し、それからδ/γ変態を通じてγ相が形成される;(2)δ相の初晶の晶出後、L+δ+γ相の3相共存状態が包晶反応を通じて形成され、凝固が終了した後、それはγ相を形成する;(3)凝固がγ相の単相状態で終了する。 2.不均質核生成過冷度に対する重要因子はcoSθ,すなわち界面自由エネルギーγ_<CL>、γ_<SC>およびγ_<LS>であることが明らかになった。特に大きな核生成能はより小さな臨界値の過冷度、すなわち1に近いcosθに対応する。このとき界面自由エネルギーに関し、γ_<CL>【approximately equal】γ_<LS>、γ_<SC>【approximately equal】0を満足する。これは触媒(C)と初晶固体(S)の構造類似を意味する。実際問題として、δ相の初晶において、TiNのみが核生成への触媒としての実効を持ち、そしてγ相の初晶において、それらのどれもを実効を持たなかった。
|