平成13年度はAl_2O_3-SiO_2-TiO_x系酸化物について、1873Kにおける還元雰囲気下での相平衡測定を行い、高酸素分圧下で生成するAl_2O_3-SiO_2-TiO_2系酸化物と比較し、鋼中に液相の介在物を生成させるための条件を明らかにした。引き続き平成14年度は、鋼に添加する合金元素の濃度により介在物を制御するために最も重要なデータである、酸化物中の各成分の活量を明らかにした。酸化物中SiO_2の活量はFe-Si-C合金との平衡により測定した。一方、この手法では、合金中アルミニウム濃度が非常に低くなるため、濃度の定量を行うことが出来ず、AlO_<1.5>の活量を測定することは出来ない。そこで、クヌードセンセル質量分析装置を用いた蒸気圧測定により、AlO_<1.5>とSiO_2の活量を測定した。この結果二つの手法により測定されたSiO_2の活量は比較的良く一致した。 また、一部の実験では、酸化物と平衡するSi-Al-Ti合金の組成を測定し、この結果からToopの手法を用いて合金中各成分の活量を算出した。ここで得られた合金中シリコンの活量と、蒸気圧測定で得られたシリコンの活量は良く一致しており、Si-Al-Ti合金に対してToopの手法が精度良く適用できることが分かった。ここで得られた合金中チタンの活量を用いて、TiO_<1.5>及びTiO_2の活量を算出した。 さらに、介在物の無害化と鋼の組織制御への利用の観点から、本研究で得られた知見を基に、介在物の最適組成の見積もりと、介在物と平衡する溶鋼組成の算出を行った。
|