研究概要 |
本年度は以下の3項目について研究を行った. 1) A1基及びCu基合金円筒試料ならびに矩形試料の作製条件:異材2重管の一体成形における界面溶着を達成するためには,内外筒の熱バランスが重要であり,内外筒の肉厚の制御が必要になる.ノズル径による肉厚制御は可能であるが,高精度のノズル径の作製は困難であることから,基板降下速度の変化により肉厚の制御を行った。それより適当な基板降下速度を選択することにより、肉厚を3mmから9mmで制御できることが知られた。 2) 3次元積層材の基本動作の制御条件:ピラミッド、逆ピラミッド及び1辺の長さが40〜10mmの三角ハニカム積層試料の作製条件を検討した。ピラミッド試料は積層上部で内側へ落ち込む傾向がみられたが、逆ピラミッド試料は表面が滑らかで45°傾斜においても積層状態は良好であった。ハニカム積層試料は1辺の長さが短くなるほどノズル径を小さくするとともに基板駆動速度を増大させる必要があることが知られた。また溶湯過剰の条件では中実の棒状試料が作製できることが知られた。積層ハニカム三角形の角の接合部では新たな溶湯との接触までの時間が長くなるほど溶着状態が悪くなることから,各辺の駆動順序を改良した。 3) Al/Cu合金異材2重管の一体成形条件:基板降下速度の制御により作製した4〜9mmの肉厚の異なるAl合金外筒試料の内部に950〜1000℃のCu合金溶湯を充填し,内外筒の界面溶着状態を調べた.それより薄肉外筒では内部充填溶湯の人熱過剰で外筒の溶断が生じやすく,厚肉では人熱不足で溶着不良が生じることから,界面溶着を達成させるためには,肉厚に応じた最適の溶湯温度があることが知られた。また、界面溶着不良部の組織観察において,一部に内外筒の熱膨張差によると推察されるクラックが認められたことから,厚肉2重管の作製においては,溶着不良の一因として熱応力対策が必要であることが知られた。
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