研究概要 |
Ag(銀)-Bi(ビスマス)合金、Ag-Pb(鉛)合金およびAg-Tl(タリウム)合金について、Al(アルミニウム)を第三元素として微量添加することによって、凝固温度範囲の縮小化を図ることができることが14年度の研究結果から明らかになったので、上記二元合金の他、Alを総量として5at%添加した、Ag-Bi-Al、Ag-Pb-AlおよびAg-Tl-Al三元合金について、回転水中紡糸法による連続細線の製作を試みた。その結果,得られた細線の最高長さがAg-Tl合金では約500mm,Ag-Pb合金では約1070mmとなり、連続細線化が認められる最低ラインである回転ドラム内周1周分の長さである約1800mmには届いておらず、連続細線化が成功したとは必ずしも言えなかった。一方、Alを添加した三元合金系の場合には、紡糸条件によっては1m以上の連続細線が得られ、当初予測していたようにAlは連続細線化において効果があることがわかった。しかし、Alと第二元素であるBi、PbおよびTlの平衡状態図おいては、これらの二元合金では各単体の融点より液相線温度が上昇し、Ag-Bi合金、Ag-Pb合金およびAg-Tl合金に多量にAlを添加すると、Agの成分比が50at%以下の、凝固温度範囲が狭い組成においては液相線温度が上昇(凝固温度範囲が二元合金の場合より拡大)し、これらの合金組成においては連続細線の製作は極めて困難であった。逆に、第二元素であるBi、PbおよびTlの成分比が低い合金では、Ag-Al合金にBi、PbおよびTlを微量添加したと見ることができ、Bi、PbおよびTlの成分比が比較的多い合金より長い細線を得ることができた。Al以外に第3元素として添加できる適当な元素がないので、Ag-Bi合金系、Ag-Pb合金系およびAg-Tl合金系での回転水中紡糸法による連続細線の製作には、紡糸条件の更なる探索が必要と考えられた。
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