研究概要 |
21世紀の基盤技術の一つとして提案されているナノテクノロジーを推進する上で,重要な要素技術に超微粒子の調製方法がある。その新規な調製方法の中には,反応場を制御して機能性に優れた微粒子を調製する方法がある。この観点から,本研究では,超微粒子として金ナノ粒子を取り上げ,反応場に超音波エネルギーを利用する新しい調製方法を検討すると共に,反応場を粘土粒子のゲル体で拘束する手法に超音波場を併用する効果を詳細に調べ,新しい超微粒子調製法の確立を目的とした。 研究期間中の成果概要は次の通りである。 1.ナノ粒子の粒子径測定法として,コロイド状態でかつ,透過型電子顕微鏡法より簡便に測定できる吸光度の利用と,小角X線法による粒子径測定法を開発し,その有用性を明らかにした。 2.反応を促進させるラジカル発生源としてアルコールあるいは界面活性剤を用い,塩化金酸水溶液から金ナノ粒子を調製した。ソノケミカル反応で多用されている200kHzの超音波を照射したところ,ほぼ中性付近の溶液で反応させた場合が最も良好であった。またアルコールの炭素鎖が長いほど一般に反応は速かったが,ある条件では特異的な挙動を取ることも判明した。 3.超音波周波数を600kHzに変更しても,200kHzの結果と同様の結果を得た。しかし20kHzの超音波を使用すると,いずれのpHの溶液でも,炭素鎖の長いアルコールを添加するほど反応は速く進んだ。 4.白金ナノ粒子を作製した場合も上記結論2と同様な結果が得られた。 5.スメクタイト合成粘土粒子を分散させた溶液中でソノケミカル反応実験を行った。合成粘土粒子を含まない場合より,反応速度は遅く,粒子径分布も広がった。通常の化学反応の場合と同傾向ではあったが,より粒子径の小さい粒子が得られた。しかし溶液はゲル化せず,粒子の分散性は劣る結果となった。
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