MFI型ゼオライトは0.数〜数μmの大きさのアルミノケイ酸塩の結晶であり、それを膜状にしたMFI型ゼオライト膜は分子篩能を有する触媒膜の特性を示す。この膜を逐次反応に適用すると、反応物質の活性点との接触時間を均一にすることができる。その結果、逐次反応の中間体生成に適用すると、従来の充填層では観測されない選択率を得ることができると考えて研究を実施した。本研究では、逐次反応としてメタノールからのオレフイン生成を取り上げた。平成14年度は次の成果を得た。 (1)ゼオライト触媒の酸点分布と有効径の制御:ゼオライト触媒膜を逐次反応の中間体選択生成に適用した際に、その選択性を向上させるには、反応物質供給側に面した酸点を不活性化する必要がある。当該研究者は、シラン化合物を酸点上に化学吸着して分解後、空気焼成して酸点上にSiO_2ユニットを形成することで酸点を不活性化するシラン接触分解法を開発している。そこで、最小分子径の異なる種々のシラン化合物を用い、不活性化する酸点の位置制御の可能性を実証した。その結果、トリフェニルシラン(TPS)を用いることで、結晶外表面の酸点を選択的に不活性化することを実証した。 (2)逐次反応の中間体選択的生成反応:メタノールの反応はメタノール→エーテル→オレフィン→芳香族+パラフィンの逐次反応である。そこで、ゼオライト膜を用いてメタノールからのオレフィン生成反応を実施した。その結果、未処理の膜はオレフィン選択率は80%(従来の充填層は7-50%)であったものが、TPS処理することでした膜は50〜98%の反応率でオレフィンを80%以上の選択率で得ることに成功した。さらに、DPSで処理すると膜の供給側と透過側の間に差圧をつけなくても選択率の向上が可能であることを実証した。
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