研究概要 |
本研究では,アルギン酸Naを難濾過性コロイド粒子懸濁液に添加し,これとゲル化剤であるカルシウム塩水溶液と混合することにより,コロイド粒子をアルギン酸カルシウムゲルの中に包括し,次いでコロイド包括ゲル懸濁液を重力脱水・圧搾脱水し,コロイド粒子を懸濁系から分離するプロセスを想定している。平成14年度は,コロイド包括条件に及ぼすイオン強度の影響を中心に検討した。 1.単分散PMMA粒子のコロイド包括条件 平成13年度のデータをさらに充実させるため,種々の粒径の単分散PMMA粒子の包括条件を検討した。10000ppmのアルギン酸Na水溶液に懸濁した0.15μm,0.4μm,0.8μmの単分散球形PMMA粒子は,完全にアルギン酸Caゲルに包括された。一方,O.15μmPMMA粒子を種々の濃度のアルギン酸Na水溶液と混合し10000ppmのCaCl_2水溶液に滴下した。0.15μmPMMA粒子を完全に包括するためのアルギン酸Na濃度は1000ppmであった。この条件では,コロイド包括ゲルの搾液も清澄であった。 2.包括ゲル化処理に及ぼすイオン強度の影響 コロイド懸濁液のイオン強度を調製し,本手法の適用限界を調査した。すなわち,懸濁液中の1価,2価,3価金属イオンの影響を調査するため,NaCl,CaCl_2,AlCl_3をコロイド懸濁液に添加した。 1価金属イオンは海水濃度程度の塩濃度でもコロイド包括処理に影響を与えなかった。一方,懸濁液中の2,3価金属イオンは,コロイド包括処理に影響を与え,あるイオン濃度以上になるとコロイド懸濁液とアルギン酸Na水溶液の混合が不可能となった。また,2価と3価では,3価イオンの方がよりコロイド包括処理に影響を与えた。このような懸濁液中に介在する多価金属イオンの影響は,アルギン酸濃度が低いほど顕著であった。
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