平成13年度は、メソ細孔シリカとしてFSM-16粉末、有機-無機ハイブリッドHMM-1粉末、メソ細孔シリカ薄膜を担体として金属ナノ細線・ナノ粒子の鋳型合成を行い、構造同定と触媒作用に関して検討を行った。FSM-16やHMM-1粉末で白金塩を担持した後に紫外光照射を72時間行うと、直径3ナノメートルで長さ1ミクロンメートルにおよぶ白金ナノ細線が合成できた。また、光還元後にヒドラジンで処理すると還元がさらに進行し、長いナノ細線が得られた。ナノ細線の成長機構を透過型電子顕微鏡とX線吸収微細構造法で検討すると、光還元の初期に小さなナノ粒子が生成し、これを触媒として白金塩の還元が進行し、ナノ細線に成長することが分かった。このとき、長時間の光還元やヒドラジン還元により金属塩がほぼ完全に還元されるとともに、細孔内でナノ細線が移動し長いナノ細線に融合する機構も併発することが新たに判明した。フッ酸処理によりシリカ部分を溶解し、ナノ細線を分離することができた。細孔から分離してもナノ細線の融合はすぐには起こらず、溶液中に分散しているが、4級アンモニウム塩やトリフェニルホスフィンなどの配位子を共存させると、溶液中の安定性が向上した。メソ細孔シリカ薄膜内で金または白金ナノ構造体の鋳型合成を試みたところ、細孔内に金属粒子が高密度に生成し、規則的な配列構造を示した。さらに、フッ酸処理の際に1-ドデカンチオールを配位子として用いると、金ナノ粒子が単分子層で6方最密充填した超格子構造をとることが分かった。同時に金ナノ細線も混在しており、メソ細孔薄膜内での金属ナノ細線合成としては初めての例を示した。ロジウム塩をFSM-16に担持後、超臨界二酸化炭素で処理すると高分散ロジウム触媒が得られ、ブタン水素化分解で高い活性を示すことを見出した。
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