メソ細孔シリカ内を鋳型として金属ナノ細線の生成機構、大量合成および分離法の確立を目指した。光還元によるナノ細線の生成機構を種々検討した結果、細孔内で金属イオンの移動速度が還元速度よりも大きいときにナノ細線ができるが、逆の場合にはナノ粒子ができることが示唆された。そこで、水素還元中に水蒸気(室温での蒸気圧、約20Torr)を共存させるとイオン移動が促進され、ナノ細線が生成することを見出した。この方法では操作が簡便であるとともに、金属担持量を上げることができる。このように、金属ナノ細線の簡便な大量合成法を開発することに成功した意義は大きい。白金の他に、パラジウム、ロジウム、白金-金のナノ細線を合成した。特に白金-金の場合には、白金-金合金相の他に、白金相、金相の存在が示唆された。 HMM-1からフッ酸処理により分離した白金ナノ細線の構造を透過型電子顕微鏡と走査型トンネル顕微鏡で観察した。細線の直径は3mm長さは25μmに達するものもあり、この場合アスペクト比は8300に達した。またSTM観察から、細線の表面に約3mm周期で凹凸があり、ナノネックレス構造をもつことが実証された。一方、純シリカのFSM-16内で調製した白金ナノ細線の表面は平坦であり、HMM-1の細孔に凹凸構造があることが示唆された。 さらに、メソ細孔内での金属ナノ粒子合成に超臨界流体を利用した。メソ細孔シリカを担体として、含浸時に超臨界二酸化炭素処理をすることにより、高分散RhおよびRhPtバイメタリック触媒が得られた。RhPt媒では合金ナノ粒子が細孔内に高分散担持されており、ブタン水素化分解反応において高収率でエタンを生成することが分かった。
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