Molecular Imprinting(M.I.)法を用いて基質選択的なアルミナ触媒(MI-Al_2O_3)及びシリカ担持ロジウム触媒(MI-Rh/SiO_2)を調製した。 MI-Al_2O_3は、テンプレート分子としてPhCH_2PO(OEt)_2を表面に吸着させた後にSi(OEt)_3をCVDで導入後、加水分解をしてSiO_2の薄層を生成させ、テンプレート分子を脱離させることによって調製した。MI-Al_2O_3の表面は直径0.8nmの細孔を有する厚さ2nmのシリカ層で覆われていることがBETの結果わかった。細孔の底部にはアルミナが露出しており。これが酸触媒サイトとして機能する。この触媒はエステルの加水分解反応に活性を示し、反応速度は基質のサイズに大きく依存した。プロピオン酸エチルなどの細孔より小さいエステルでは活性が高く、また、フェニル酢酸ベンジルなどの細孔より大きいものの反応活性は低かった。MI-Al_2O_3触媒上の活性化エネルギー(Ea)は12.4kJmol^<-1>となり、他のアルミナ触媒上のEa(79.2kJmol^<-1>)より著しく小さかった。この小さいEaは基質が細孔に取り込まれるのが律速であることを示唆する。 一方、MI-Rh/SiO_2はRh_2Cl_2(CO)_4をSiO_2に固定化し、P(OCH_3)_3を配位させた後、Si(OEt)_3をCVDで導入して加水分解することによって、Rhサイトの周りにSiO_2層を堆積させた。EXAFSの結果、SiO_2層を堆積させる前はP(OCH_3)_3が2分子Rhに配位し、Rhはモノマーで存在する。一方、SiO_2を堆積させると、P(OCH_3)_3が1分子脱離し、Rhはダイマーになることがわかった。また、BETの結果から細孔径は0.74nmであることがわかった。この触媒はオレフィンの水素化反応に活性を示し、反応速度は基質分子の大きさに大きく依存した。 M.I.法を用いて固体表面の活性サイトを修飾することによって、基質分子のサイズに選択性を持つ不均-触媒を調製することに成功した。
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