表面特性が異なると考えられる木質系3種、椰子殻系4種、石炭系2種、石油ピッチ系1種の10種の活性炭を触媒として実施した二酸化硫黄の酸化反応は、顕著な活性差を示した。触媒活性の序列に関与する表面特性として、物理的性状に着目して比表面積、細孔容積と活性の相関を調べたが、決定的な関係を見出すには至らなかった。むしろ、触媒を粉化させたとき、いずれの触媒も活性の向上が認められ、マクロポアの活性への関与が強く示唆された。 表面特性と触媒活性の関係を見出すために、物理的特性としてのSEM、化学的特性として、NH3-TPD、IR、XPS、親疎水性評価など、一般的なキャラクタリゼーションを行ない、触媒活性の序列と比較した。 SEM像の結果からは、決定的差異を見出せないものの、YS系およびG-BAC活性炭には、原材料や水蒸気賦活の特徴を反映したと思われる円状の細孔が多く認められた。これらは高活性グループに属する活性炭であり、上記マクロポアの関与と符合する可能性がある。 NH3-TPDによる酸量の測定では、いずれの触媒も0.05〜0.1m-mol/g-catの範囲に分布し、酸量に大きな差異を見出さなかった。したがって、表面酸性質で、これらの触媒活性序列を論じるのは不適当であろう。 IR測定では、1300〜1400cm^<-1>領域の吸収スペクトルと活性が相関されそうであるが、吸収スペクトル自体が明瞭なものではなかった。 その点、XPSと親疎水性評価では、極めて明瞭な差異が認められた。前者では、活性炭表面の酸素濃度が高い触媒、後者では疎水性の高い触媒は本反応活性と強い正の相関をもっていることが明らかにされた。
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