研究課題
基盤研究(C)
活性炭触媒の二酸化硫黄の酸化活性への影響を調べる目的で、原料ガス系、反応系、分析系、排ガス系から構成される定温流通式反応装置を独自に設計・製作した。原料ガス系は、工業的燃焼排ガス組成を模擬するよう、且つ均一に混合されるよう設置した。触媒は疎水性を含めた表面特性が大幅に変化することを期待して、石炭系2種・石油ピッチ系1種・木炭系3種・椰子殻炭系4種など広く選定した。選定された活性比較条件は、温度:45℃、全圧力:1atm、W/F:12.5×10-3 g・min/mlである。転化率は触媒によって、32%〜96%と大きな違いを示した。木質系の3触媒はいずれも上位の活性を示した。反応時間を1200分まで延長した長期試験でも、活性変化を認めず、安定していることが判明した。反応温度を60℃に上げた結果は劣化を促進し、30℃に下げたものは転化率が低く、45℃の反応温度は適当な選択であることが分かった。触媒活性の序列に関与する表面特性として、比表面積、細孔容積、SEM像と活性の相関を調べたが、決定的な関係を見出すのは至らなかった。ついで、NH3-TPD、IR、XPS、親疎水性評価などを行なったところ、XPSと親疎水性評価では、極めて明瞭な差異が認められた。前者では、活性炭表面の酸素濃度が高い触媒、後者では疎水性の高い触媒は本反応活性と強い正の相関をもっていることが明らかにされた。さらに、より高活性触媒を探索する目的で、意図的にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を担持した触媒の活性は飛躍的に向上することを見出した。乾式排煙脱硫プロセスの概念設計では、大量の燃焼ガスが触媒層を通過するときの圧力損失を低下させる触媒形状の選定の重要性が指摘された。この点を解決する試みとして、商業1号機では、ハニカム構造を採用したものと推定される。今後は、本研究の環境触媒の長所と、ハニカム構造成形技術との融合によるプロセス改良が期待される。
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硫酸と工業 57、No.7
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J.Sulphuric Acid Association of Japan, sulphuric acid and Industry vol.57, No.7
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