マイクロTASなどでは、リアクターやセンサにために必要な酵素分子などのタンパク質を固定化出来る量が極めて限られ、そのために全ての分子が機能を発揮できる分子配向に制御して固定化を行う必要がある。本研究では電気化学的なタンパク質分子固定化技術を開発した。遺伝子工学的に導入した特定のペプチド配列に電気化学的に活性な分子が保持される。この保持された分子を電気化学的に還元析出させることにより、このサイトでのみ分子が電極表面に固定される。この固定化サイトは遺伝子工学的手法により、タンパク質一次配列中の任意の位置へ導入することが可能である。そのために、予め設計した分子配向によってタンパク質分子を固定化することが可能となる。タンパク質分子構造中の機能部位が明確な抗体分子を本方法により固定化し、その分子リガンド機能を評価したところ、分子配向により抗体の可変部が外を向いた分子配向に制御できたため、通常の固定化抗体よりも高い抗体値を示すことが明らかとなった。この方法は微細箇所であっても適用可能であるため、単分子固定化を現在研究・評価中である。
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