研究課題/領域番号 |
13650855
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新海 政重 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70262889)
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研究分担者 |
小林 猛 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10043324)
長棟 輝行 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20124373)
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キーワード | 移植皮膚シート / 臓器移植 / 細胞工学 / 組織工学 / 抗菌ペプチド / 遺伝子治療 / 医用材料 / 細胞表層工学 |
研究概要 |
(1)抗菌ペプチド提示表皮シートの生体への適用 前年度までに抗菌ペプチドであるザーペシンの遺伝子を導入した角化細胞を重層化させ、移植用シートとし、ヌードマウスの皮下に移植後、大腸菌や緑膿菌などを投与する事で生体内での抗菌活性を検討したが、ザーペシン生産量低さから生体内での有意な抗菌活性は観察されなかった。そこで、細胞外で合成した抗菌ペプチドを細胞表面修飾剤(BAM)に結合したBAM-抗菌ペプチドを調製し、抗菌活性を評価した。マウス繊維芽細胞の培養液にBAM-抗菌ペプチドを添加したところ、数分で抗菌ペプチドを細胞表面に提示することができた。この培養細胞に大腸菌培養液を接触させた場合、抗菌ペプチドが徐々に放出され、抗菌活性を示すことが確認された。一方、ヌードマウス表皮に対しても同様な実験を行ったところ、抗菌ペプチドが角質に提示された。培養細胞と同様に大腸菌培養液と接触させたところ、同様な抗菌活性を示した。 (2)治癒促進型培養表皮シートの調製法の確立 表皮の治癒を促進するための細胞シート調製法を確立した。培養工学的に大量培養した細胞をゼラチンに埋包し、トランスグルタミナーゼで架橋した皮膚シートを作成し、接着因子のアミノ酸モチーフを含むペプチドを加えることも有効であることを見出した。また、細胞とペプチドをあらかじめ接触させておくと効率良くゼラチンゲル内で増殖することを見出した。即時移植可能な表皮シートを調製するため、生体内と同様の細胞密度となるよう細胞数を調整したゼラチンゲルシートを作製したところ、30日程度の細胞の生存が認められた。さらに血管網と同様な構造をゲル内に作る方法を見出した。
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