研究課題/領域番号 |
13650867
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
堀江 一之 東京農工大学, 工学部, 教授 (10013690)
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研究分担者 |
古川 英光 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50282827)
宮下 美晴 東京農工大学, 工学部, 助手 (00293259)
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キーワード | 近接場光学顕微鏡 / NSOM / 電気泳動 / ポリマー / ゲル / 微粒子 / ポリスチレン / 蛍光プローブ |
研究概要 |
分離分析装置の集積化に対する興味が近年高まっている。本研究の目的は、ナノメートルオーダーの空間分解能を持つ近接場走査光学顕微鏡(NSOM)を用いてナノ空間電気泳動を実現することであり、チップの小型化の際には、どのような検出方法をとるかが本質的な問題となる。従来の分離分析素子においては、試料の検出や定量には光吸収や蛍光を利用する光学的な方法が用いられている。ところが素子の集積化が進むにつれて、光を用いた通常の検出方法では、空間分解能が波長によって制限されるという原理的な制約にぶつかる。近接場光学顕微鏡は、光の波長を超えた分解能を持つ顕微分光法として注目されており、NSOMをチップ上の電気泳動の検出装置に応用することは集積度を飛躍的に向上させる可能性をもっている。本研究では、まず、ナノ空間での電気泳動に応用できるNSOMの試作を行い、それを用いて、蛍光ラベル化したポリマー粒子や生体試料の分離分析およびナノスケールの空間分解能での物質移動分離の様子のモニターリングを行いつつある。 本年度は、研究代表者らが東京大学で開発してきた高分子観察用NSOMを改造し、クロマトグラフィーや電気泳動をしながら観察できるような以下の性能を持つNSOMユニットの試作を行いつつある。 (1)固液界面や、ゲルのような柔らかい物質の表面を測定できる。 (2)セルは温度や湿度が制御できるよう密閉とする。 (3)外部から液体を導入したり、高電圧を加えられるような端子を設ける。 (4)数十ミクロン四方の走査範囲を10分程度で観察できる(高速)。 現在のところ、流動させることができるようにした液体セル中の固液界面で、蛍光色素をもつやわらかいポリスチレンラテックスの単一分子の観察には成功し、電気泳動しながら観察できるようにするための諸条件の検討を行っているところである。この試作装置を用いて、研究室で開発中の環境応答性高分子微粒子や、光応答性デンドリマーなどの微粒子が、ナノ電気泳動で使われるような外場のある微少空間でどのように振る舞うか、調べる予定である。
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