研究概要 |
キャピラリー電気泳動-化学発光検出法における簡易小型化学発光検出セルを新しく考案・試作し、その性能を評価した。実験は、過シュウ酸エステル系発光試薬を用いて、ダンシルアミノ酸をモデル試料に選んだ。ガラス管を用いたバッチ型検出セルにおいて、ガラス管内の発光試薬量、キャピラリーからの泳動緩衝溶液の流入量などがエレクトロフェログラムに与える影響を詳しく調べた。600μlの発光試薬を含む3.8mm内径のガラス管を検出セルに用いた場合、ダンシルトリプトファンを3.3x10^<-8>〜1x10^<-5>Mの定量濃度範囲で分析できた。また、テフロンチューブを検出セルに用いたフロー型の化学発光検出器においては、コンパクトな遮光検出部を開発し、装置の小型化を検討した。フロー型であるため連続分析が可能であり、迅速、簡便、かつ再現性のよい分離・検出ができた。このフロー型の化学発光検出器を用いて、ミセル動電クロマトグラフィーの分離モードでダンシルアミノ酸混合試料を分離・検出した。 さらに、本研究では、ポリマー溶液を用いたキャピラリーゲル電気泳動法と化学発光検出器を組み合わせた新しい分析技術を開発し、生体高分子の分離・検出について報告した。モデル生体高分子試料として蛍光標識タンパク質および蛍光標識DNAを分析した。リゾチーム、チトクロームC、およびリポヌクレアーゼAの蛍光標識タンパク質混合試料がポリマー溶液を用いたキャピラリーゲル電気泳動によって分離された。また、60から1000塩基対の蛍光標識DNAフラグメントを分離・検出した。 簡易型「キャピラリー電気泳動-化学発光検出」装置をバッチ型検出セルおよびフロー型検出セルにおいて検討し,遺伝子診断の基礎的検討として,DNAフラグメントを分析できる可能性を示した。
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