研究概要 |
ナノテクノロジーの基礎として、表面をナノスケールで加工する手法が国内外で探索されている。1)光あるいは電子線を用いたナノリソグラフィーを用いた手法や、2)走査型プローブ顕微鏡の探針を用いた加工法に加えて、3)原子・分子の自己組織化を利用する「化学的な表面・界面の構築」手法が着目されるようになった。しかしながらナノリソグラフィーやプローブ加工法の進展に比較して、化学的手法の研究は、現時点においては依然初歩的な段階にある。 溶液中と真空中における自己組織化膜の構造をつきあわせ検討することは、学術的ばかりでなく工業的な応用のためにも本質的な重要性を持つ。研究者は溶液中および超高真空中における金属表面上の、ハロゲン化物イオン、金属原子、金属錯体、あるいは小分子の吸着構造を、厳密に検討してきた。その結果、固液界面と固気界面の類似性及び相違性が明らかになってきている。本研究中「固体表面上での組織化における個々の原子・分子の動的挙動の解析」においては、上記の方針をさらに突き進め、溶液中及び超高真空環境のもと、様々な金属表面上に構造の規定された1)金属表面2)強吸着イオン3)有機分子及び4)化合物半導体薄膜のナノ織化家庭を明らかにすることに成功した。主な成果を以下に示す。 1.白金電極表面のナノ構造形成・水素分子及び水素イオン吸着によるPt(100)再配列表面の表面リフティング過程の観察 2.強吸着イオンの自己組織化構造・Ag(100)上におけるClとBrの吸着・Cu(111)電極上におけるSとSCNの吸着 3.有機分子の自己組織化構造・Rh(111)表面上における真空及び溶液中におけるp-キシレン単分子膜形成・Rh(111)電極表面上におけるメチル基置換ベンゼン誘導体の単分子膜形成・Cu(100)、(100)および(111)電極上におけるBTAの吸着構造・Cu(111)電極表面上における1,10-フェナントロリンの単分子膜形成 4.アノード酸化による化合物半導体ナノ薄膜の形成・Ag(100)単結晶電極上におけるAgBr薄膜の形成・Cu(111)単結晶電徐苦情におけるCu_2S薄膜の形成
|