クリーンで高効率な燃料電池の実用化には高性能電極触媒の開発が必要不可欠である。それには、表面の組成、結晶構造、実作用面積等が良く規定された電極を用い、反応過程をin-situ(その場)解析して触媒設計指針を得ることが本質的である。本研究は高精度電気化学水晶振動子ナノバランス(EQCN)法を用いて、燃料電池電極反応をその場解析し、高性能な電極触媒(耐CO被毒アノードと稿活性カソード)設計指針を得ることを目的とする。 13年度は、過塩素酸電解液中でのPt-Fe合金電極の電気化学的安定化処理過程をEQCNでその場解析した。その結果、Fe成分の溶出と同時に数原子層のPt皮膜の生成・再配列過程が起こっていることを明確に示すことができた。また、安定化したPt-Fe合金電極と単味Pt電極にCOを飽和吸着させ、その電気化学的酸化過程をEQCNで初めてその場解析できた。 14年度は、Pt-Co合金電極の電気化学的安定化処理過程をEQCNでその場解析した。その結果、Co成分の溶出と同時に数原子層のPt皮膜の生成・再配列過程が起こっていることを明確に示すことができた。また、安定化したPt-Co合金電極にCOを飽和吸着させ、その電気化学的酸化過程をEQCNでその場解析できた。Pt-CoやPt-Fe合金電極では、吸着力の弱いCOが約400mV vs RHEの低い電位で酸化されている事を明らかにできた。 他方、100℃以下の低温で作動する燃料電池の高効率化に最も重要な酸素還元反応を初めてEQCN解析した。Pt単味電極では、かなりの大きな過電圧をかけてもPt-OHのような反応中間体が常に一定濃度だけ表面に残存していることがわかった。これに対し、Pt-FeやPt-Co合金ではPt単味とは電子状態が異なるため、反応が速やかに進行して表面種濃度がきわめて低いことがわかった。
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