研究概要 |
規則性のある粘土層に対して、集合体となって規則性を作り出す界面活性剤を層間に配向させることによって、新たな反応場を構築する。この特異的反応場の構築とその光物理化学的検討を行っている。主にカチオン交換性粘土(Sumecton SA)と多フッ素化カチオン性界面活性剤について検討を行った。 半経験的分子軌道計算プログラムMOPACのAM1法及びPM3法を用いてカチオン性界面活性剤の最安定構造、電荷分布を計算した。さらに、非経験的分子軌道プログラムGaussian98を用い、密度汎関数法(B3LYP/6-31G^*,6-311+G(d, P)等)によって同様に安定構造と電荷分布を計算した。正電荷は、カチオン部位である窒素原子にあるのではなく、隣接した炭素に結合している全ての水素原子に非局在化していることがわかった。これらの正電荷の重心は、ほぼ窒素原子であり粘土層の負電荷とのクーロン相互作用を考える場合には、窒素原子が正電荷を持っていると近似してもよいということがわかった。界面活性剤の分子が粘土層中で配向状態にあり、多数存在する場合の電荷分布については現在検討している。分子軌道計算による最安定構造と実測値、吸着量、偏向IR、小角X線散乱測定などにより粘度層間で界面活性剤は二重層を形成しており、界面活性剤と粘土表面との成す角(傾き角)はフッ素鎖の炭素数が3の場合には35度と算出できた。
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